
日本各地に残るお寺や神社、古民家などの木造建築は、地域の歴史や文化を今に伝える大切な存在です。
中には国の重要文化財に指定されているような貴重な建物も多く、後世にしっかりと受け継いでいくために、日々さまざまな保護の取り組みが行われています。
ところが、どれほど立派な建物であっても、木材を食べるシロアリや湿気による腐朽といった“見えにくいリスク”からは逃れることができません。実際に、床下や柱に被害が確認されるケースも少なくないのです。
公益社団法人日本しろあり対策協会および関東しろあり対策協会では、こうした文化財建築を守り、またしろあり駆除についての社会的な啓蒙活動の一貫として、各地の教育委員会や所有者と連携しながら、長年にわたり専門的な調査や検査を行ってきました。
文化財の現場では「壊さずに調べる」「一つひとつの木材を大切に扱う」といった、通常以上に丁寧で繊細な技術が求められます。協会に加盟する業者は、そのような高度な現場を任されてきた確かな実績を持っています。
今回は、実際に重要文化財の調査に携わってきたミツイ消毒株式会社の尾高様に、文化財建築での施工の舞台裏や、普段の住宅の施工にもつながる工夫についてお話を伺いました。
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━お話を聞いた方
ミツイ消毒株式会社
代表取締社長 尾髙清彦様
【会社紹介】ミツイ消毒株式会社
関東全域を対象にPCO(ペストコントロール)業務を行う専門業者 特にシロアリ対策を中心とし、検査から防除、予防まで一貫して対応できる体制を整えています。 文化財のシロアリ対策にも早くから携わり、埼玉県の調査案件の取りまとめや采配なども担当しておられます。
⸻本日はよろしくお願いします!文化財の調査や施工というと、一般の家屋とは全く違って専門的な技術のお話が多いと思うのですが、一般の方にもわかりやすいお話をお聞きできたらと思っています。
尾高様(以降、尾):はい、お願いします。
⸻このような文化財の検査案件には、どれくらいの期間携わっていらっしゃるんですか?それと、どのような流れで調査依頼などがくるのですが?
尾:私は主には埼玉のエリアを担当していますが、実は文化財のシロアリ検査を公益事業として始めたのは埼玉県が最初なんです。2010年頃にはすでに動き出していて、そこから関わっていますので、今年(2025年)で15年ほどになりますね。
文化財の調査は、日本しろあり対策協会の公益事業として行われています。
大まかな流れは、
①協会から各都県・教育委員会に検査依頼 → ②教育委員会から文化財所有者へ募集 → ③所有者が申込み(図面添付) → ④協会に連絡 → ⑤加盟業者で実行委員会を組織し、物件ごとに担当を決定 → ⑥事前打ち合わせ → ⑦現地調査・検査 → ⑧報告書の作成と提出
といった手順になります。
検査そのものは、文化財を傷つけないように「目視・打診・触診・簡単な計測器」を使った非破壊検査が中心です。対象はシロアリによる食害(特にヤマトシロアリ)、腐朽、カビ汚染などで、記録は写真や図面に残します。その後、協会内で専門的なチェックを経て正式な報告書となり、所有者や教育委員会に提出される仕組みです。
年度別実施件数参照:公益社団法人日本しろあり対策協会「文化財等蟻害・腐朽調査事業について」より
⸻検査の後、被害が見つかった場合はそのまま駆除などの施工を行うのですか?
尾:一般の家屋ではそれが普通ですが、文化財の施工はなかなかそうはならないんです。
まず検査結果は報告書として提出し、被害があった場合は被害状況や施工にかかる想定の作業内容やおおよその予算なども算出して記載します。
でも所有が公的な文化財の場合は、入札制度があるので検査と施工は別になってしまうケースが少なくありません。
入札に参加できる業者は自治体ごとに申請するもので、全ての自治体の入札に申請できているわけではないので、検査だけ行なって入札にも参加できないということがほとんどだったりします。
それでも、数は少ないですが、検査から施工まで一貫して携わらせてもらった文化財もいくつかあります。
そういうときは文化財ならではのやりがいや面白みを感じますね。
検査から施工まで一貫⸻なるほど、あくまで検査は無償、公益事業であって、営業的な利はあまりないものなんですね。
では、その施工までを一貫して行なった際のお話を伺わせてください。
尾:文化財の施工では、建物への影響を最小限にしつつ、確実な防除を行う必要があります。
関東地方で多いのはヤマトシロアリによる床下部分の被害。
倒壊まで至るケースは稀ですが、修繕には高額な費用がかかります。
また、木材食害昆虫による被害もあり、予防工事が最も有効な対策です。
現場では、安全性・建物保護・作業効率の3点を高いレベルで両立させる工法が求められます。
安全性・建物保護・作業効率の3点を高いレベルで両立させる工法⸻先ほど、文化財ならではの面白みがあると伺いましたが、どのような部分ですか?
尾:私だけではなく、他の技術者からもそういう話を聞きますが、「一般の人が立ち入れない歴史的建造物を誰よりも間近で見ることができる」これは建造物に関わる職人なら嬉しいことですよね。
それとやはり「文化を未来に残す使命感」にはやりがいもあり、日常業務を中断して現場へ向かう原動力はそのあたりでしょうか。
⸻関東しろあり対策協会の施工業者会員は、技術的な研鑽や新しい薬剤や施工方法の習得を常に継続して行なっていると聞きます。
文化財に対するやりがいや面白みにも、根底に技術への高い志があるからなように感じました。
尾:関東しろあり対策協会の加盟業者は、厳しい基準を満たしていますし、確かな施工技術と安全性を持つ業者のみだと信じています。
文化財のような繊細な建物を施工するのは、そうした高い基準をクリアできる業者であってほしいと思いますね。
⸻ありがとうございました!
関東しろあり対策協会の加盟業者は、厳しい基準を満たしています今回は、関東しろあり対策協会の施工業者会員であり、長年にわたり文化財のシロアリ対策に携わってきたミツイ消毒株式会社の尾高様にお話を伺いました。
歴史ある建物を守ることは、私たちの暮らしや文化を守ることでもあります。
お話を聞いて、協会を通じて依頼することは、確かな品質と安心を選ぶことにつながると実感しました。
シロアリの被害は見えない場所から静かに進行します。
もしご不安なことがある場合は、関東しろあり対策協会までお気軽にご相談ください。
安心・安全・確実な施工で、大切な財産を守ります。
安心・安全・確実な施工で、大切な財産を守ります。
信頼できる安全なシロアリ業者選びなら、 地域密着の関東しろあり対策協会にご相談ください!

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